「居酒屋のオッチャンですねん」伊藤 保(高30)

30回生 伊藤保です

やりたいことをけっこう一生懸命やってきました、人間万事塞翁が馬ですね。

高校時代は光と影が交錯した3年間だったと思っています。勉強以外はほんとに充実してましたね。「人間失格」や「二十歳の原点」を知ってオロオロしつつも、バイトしたりパチンコ行ったり喫茶店で長居したり、もちろんオネーチャンをおっかけたり。遊んでばかりの日々で、結果当然浪人ですが、なんと、予備校まで試験で落とされ、さすがその時はショックでしたけど。

部活はアメリカンフットボール部。熱中してた記憶もなく、華々しい戦績を残したわけでもなく、大学で名プレイヤーとして名を馳せたわけでもないのに(大学時代はブラバンです)、OB会の皆様には先輩も後輩もなにかと可愛がって下さり、ほんまにありがたいことでございます。 試合の思い出は、ファンブルだのミスキャッチだのエラーばかりが浮かんできて、ほんまに何しとったんかいなあと思います。そのくせ、キツイ練習や痛い練習は浮かんでくる。苦笑いです。毎年1月に開催されるOB戦、市立西宮高校OBとの定期戦、ポートボウルと言いまして、少しですが参加させて頂いております。

脱サラして4年前から、三宮でちっちゃな居酒屋やってます。はい、50歳での開業でした。同窓生には開業以来ほんとに大事にして頂き、星陵生がお越しでない日の方が少ないです。お客様が全員星陵生の時もしばしばありますねん。感謝感謝です。

某ホテルチェーンでフロント責任者をしておりましたが、早期退職制度を受け入れ退職。請負いマネージャー(へこんだホテルを持ちあげるオシゴトです)として独立を目指すも、リーマンショックで、そんな仕事も少なくなり、ほなしゃあない、自分で店やろか、儲からんやろけど食って行ければええやん、的なノリでやっちゃいました。

炭火でいろんなものを焼く居酒屋は案外少ない、オトナがポケットマネーでゆっくりできる居酒屋がなかなか見当たらない、そこらへんに可能性があると思っただけで、調理経験もなく、無謀と言われても否定できない、開業でした。

ただ、マネージャー職の経験から、数値管理等、何にどんだけゼニ使うてええか、何を始末するかは、わかっているつもりでしたので、収支構造の構成比的には優良店と思っております。いかんせんトータルヴォリュームは、まだまだトホホでございます。

いきなり三ノ宮のド真ん中にしたのは、日曜日を休みにしたかったからで、(地元や郊外だと休めないでしょ?)、日曜日は子供たちとラグビーしたいからなんです(後述)。

開業は家族は猛反対、ではなくて、「やりたいことやったら」と全面バックアップ、ありがたかったです。そして、援護してくれる同窓生の皆さん、ご近所で長年飲食業を営んでらっしゃる25回生木南先輩(宗八)、36回生里見さん(サロンドジェイズ)も、何かと助けて下さいます。

ホテル時代は「フロントマン」、厨房に立ったことはありません。ただ、試食会や団体客の料理の打合せなどで、ひんぱんに調理場とやりとりしていましたので、クチとミミとアタマは大きくなっていました。群馬在勤の頃は、しょっちゅう数家族でバーベキューしていたことが、実は研修の場になっていたのかもしれません。サラリーマン時代によ~くグチっていたので、いろんな居酒屋に出入りしていたことも、今の自分にはプラスになったんやなあと思うてます。どこどこのあれはうまいとか、あの食材がこう出てくるのかとか。

10年前の群馬在勤時に小学4年だった長男が「高崎ラグビークラブ」に入り、私もアシスタントとしてお手伝いが始まり、そこから、ラグビーの楽しさコーチの楽しさが続いています。今は塩屋小学校を拠点とする「神戸少年ラグビースクール」で、小学3・4年を担当しています。

コーチのだいご味は、子どもらがある日突然化ける瞬間に出会える事です。声を出して見方を呼ぶようになった、タックルして倒した、ステップきって相手をかわした、などなど。どの子も必ず進歩します。どこかでなにかのきっかけで一段階段を昇ります。そのためのお手伝いをすることがスクールコーチの役割と思っています。「やったらいつかは必ずできる」ことを知ってもらうのがコーチのシゴトと思っています。練習に工夫をこらすこと、集中が持続できるメニューを考える事、子ども達の進捗度に応じて柔軟に対応する事、を心がけています。

ふだんは、お昼前から仕入れで、市場のハシゴに2時間、仕込みと開店準備に4時間、営業は6時間、閉店作業と食材チェックに3時間。そんな毎日があっと言う間に過ぎた3年半。「おいしいで」「また来るわ」のお言葉が、今の私らのアドレナリンです。

中長計なんぞはございません。今日明日、日々、しっかり仕入れ、きちんと仕込み、一品一品をていねいに出すのみです。お客様のおくつろぎの場として可愛がって頂けるお店を目指して!