平成25年度OB会報告 アメリカンフットボール部OB会

「古い昔のOBと現役を囲む会」開催

星陵高校アメリカンフットボール部は1950年に創部された。64年の歴史がある。県内で現存する高校チームでは、関西学院に次いで2番目に古い。国内でも有数の伝統あるチームだ。各方面で活躍する、数多くの優秀なOB,OGを輩出してきた。

しかし現役の部員たちは、そのような歴史を知らない。自分たちが今活動できているのは、そうした先輩たちのおかげだ、という意識は乏しい。ともすると、日々の練習や生活への不満ばかりが頭を占めてしまう。

そんな彼らに、祖父の世代と交流する機会を与えたい。部を作ってくれた創成期の方の話を聞かせたい。毎年1月第2日曜日に開催されるOB会主催のイベント「ポートボウル」会場で、創部時の主将を務められた、3回生の米田豊さんに講演会を依頼した。その場で快諾いただき、お仲間も呼んでいただけることになった。3回生~10回生のフットボール部OBの方が総勢8名ご参加くださった。20代の若手OBや、関西アメフト協会の山岡さん、さらに保護者の方にもご参加いただき、盛大な会となった。また、神戸新聞の記者も取材に来られ、翌日の朝刊に記事が掲載された。

米田さんが、戦争前後の当時の状況から話をされた。そして1934年に国内に生まれたフットボールが、どのように広がっていったか、またその中で星陵高校ではどのように部を立ち上げたか。米田さんのお兄さん、満さんが当時関学大でQBをされており、そのお兄さんにもらったボロボロのボールを使って、福田川でキャッチボールをすることから始まった。仲間を誘って、グラウンドの片隅、現在の部室でもある凌波館の前で練習を始めた。そして、星陵高校にフットボール部が誕生した。卒業後も、神戸ボウルやポートボウルを立ち上げるなど、現役部員のために献身的に貢献してくださった話。まさに「伝説」だった。しかし決して自慢話ではなく、常に謙虚に語られる、その口調には人柄が滲み出ていた。

そして、米田さんの弟正勝さん(9回生)をはじめ、参加いただいたOBの方の何人かからお話をいただいた。
どなたも、楽しかった部活動の思い出や当時の苦労話、そして熱いメッセージを語ってくださった。

(講演をする米田さん)           (集まられた超OBのみなさん)

その後に、現役部員とOBのみなさんとの交流会を持ち、個別にいろいろなお話を聞かせていただいた。最後は主将68回生住本壮が、「歴史を実感した。OBのみなさんの思いをしっかり受け止めて目標に向かって努力していきたい」と、あいさつをした。時間にすればわずか2時間あまりのことだったが、現役部員にとって、練習以上に意義深い貴重な時間だった。最後に山岡さんに撮影していただいた集合写真に写っている、現役部員の笑顔が印象深い。

「最近の高校生は~」という言説をよく耳にする。確かにここ最近の若者のコミュニケーション力の低下は、大きな問題だ。

彼らの日常生活を見ていると、それも仕方のないことだと思える。現在の星陵生は、ほぼ全員がスマートフォンを持ち、直接話さなくてもLINEを通じてメッセージのやり取りが出来る。直接顔を見て、自分の考えや思いを伝えることが苦手な生徒が年々増えている。

家族形態も、最近では核家族が当たり前だし、兄弟の数も減り、一人っ子の割合も増えた。コンビニやファーストフードのお店では、ほとんど口を利くことなく用が足せる。その気になれば、全く人と話をすることがなくても、快適に1日を過ごすことができる。祖父の世代と話をすることなど、まず機会が無い。

だからこそ、部活動での「縦のつながり」を大切にしたい。それも自分が在籍したときのみならず、「星陵高校アメリカンフットボール部」という括りでのつながりを。アメリカンフットボール部では、主に若手OBが、年末に現役のために遠方より集結し、OB戦を行っている。今年は40名を超えるOBが集まり、この時にも試合後に交流会を行った。また、先述したOB会主催のボウルゲーム「ポートボウル」が、今年で26回目を数えた。これは国内では、甲子園ボウル、ライスボウル、神戸ボウルに次ぐ歴史あるボウルゲームとなっている。

こうしたOBたちの活発な活動は、現役部員の大きな励みになっている。そして彼らは、フラッグフットボールに取り組み、小中学校への普及を図ろうと試みている。自分たちが受けた恩恵を、次の世代へとつなげていく試みだ。今後は、星陵高校を核とした、フットボールによる地域貢献を目指していきたい。さらなる「縦のつながり」へ。今後もOBをはじめ、多くの方々に応援してもらえるチームを目指していきたい。

(アメリカンフットボール部顧問教諭 山下広樹)

(OBの皆さんと現役部員の集合写真)