「千夜一夜物語(4)」風穴 武志(高6)

第四話アラビア歴と断食月

今夜は私が使うグレゴリィ歴とアラビア歴(ヒジリァ) について

起源はAD622七月15日日没からスタート、

イスラム歴、12ケ月の月齢、年354日、8時間4.8分

ムハラム、サファル、ラビィアゥワル、ラビィタニ、ジュマァアゥワル、ジュマァタニ、ラジャブ、シャアバァン、ラマダン、ショワァル、デュルガァダ、、デュルヒィジャ。

イスラム教にとって大事な月は断食(ラマダン月)と巡礼月(ヒィジャ月)

ラマダン月(9番目)断食月、日出後から日没まで水・食物を絶ち、日没後一日が始まる。
私達ノン‐モスリムはホテルに居る限り断食とは無縁です。

金曜は安息日、モスクで礼拝をする。男子のみ。女子は家でする。

礼拝は、1ファズル夜明け、2ドホル正午、3バ-ドドホル午後四時頃、4マガリブ日没、5エィシャ晩餐後

五回は必須、旅行中、病気療養中は日一回でもよい。
夜明けの礼拝が不可能なら、午前九時頃職場でお祈りする。

日本に″盆と正月”、キリスト教に”クリスマスとイースター”、イスラム教に”ラマダンとハッジ”があります。

九番目の月’ラマダン’はそれぞれ自国で祝う、一か月間、断食月(夜の月)

従業人は主人から月給以外にボーナスを、又休暇として二週間から四週間有給休暇を貰います。

サウジに帰化している帰化人は月末まで働き、その時間帯は日没後から。
反面、小学校、官庁、銀行は午前中朝九時から十二時まで午前中のみ。
一年間身に着けていたすべての衣料品は召使に譲るか捨て、全て新品に着替える。

商人にとって売り上げが伸び、街中が一番活気付く、みんなの表情が明るくなるのです。
昔何かの童話の本で読んだ夜の国に迷い込んだ雰囲気、普通午後昼寝はしているが眼に輝きが無く疲れた表情であるが全員生きいきキラキラした眼光、まさに夜の国、いな、おとぎの国である。

商談のアポイントは普通の月は午前中、日没前、日没後、一日三回、一時間単位のアポイントは絶対不可能。
またこの月、ラマダン月は日没前から日没後小一時間程度のみ。

一方それらの商品を届ける私達もラマダン・ハッジ商戦は中東課を関西でベストスリーに入るため最も重要と位置付けた季節です。

大事なこと、商品をひと月前に届ける。グレゴリーとヒジリに約10日のずれがある事により十年で百日、二十年二百日。
つまり最初が四月出張なら正月海外で越年が数度ありました。

行き届いた公共福祉

公共料金(電気・水道代無料、所得税)無し、病院の治療費軽い症状なら無料に近い。
イスラム法は生命保険が無く、利息取ることを禁じている、銀行預金にも利息は付かないのです。

無論、信用売り、信用買いはあり得ません。
ねぇさんツケといて!
あり得ません。

コーランの教えに、持てる者が持たざる者に喜捨をする義務があり。
ラマダン月はほとんど毎日お馴染みさんが商人の店に来てハディヤ(神からの贈り物)を当然の権利として要求している。
いわゆる物貰い人でなく全く卑屈な態度で無いのであります。
ラマダン以外の十一ヵ月は金曜日にお馴染みさんを訪ねて要求する。
金額は自己申告制で一週間の利益1%くらい。
無論市の福祉課は毎月生活費を与えているのです。

お馴染みさんは”サダカ”お友達と呼ばれ、ベガァ(Beggar)では無いのです。

日常生活の日用品・食料品、お惣菜の買物は金曜日に家族総出でおこないます。
金曜日以外は主婦に頼まれたメモを持って魚・果物等全て亭主の仕事になっています。
これは女性の自動車運転を禁じているのが理由です。

昼の礼拝、取引先の小売店、事務所従業員、全てドホル礼拝は近くの教会、その後市場でお惣菜の買物、帰宅、家族と昼食、昼寝、バ-ドドホルに自宅でお祈りを済ませ出勤する。

当然、我々も、郷に入れば郷に従うで一日二度の睡眠で異国の気候風土に慣らす必要がありました。

第四夜は終わりです。

つぎは、罪と罰。