「みなさん」髙橋 敬介(高32)

みなさん、こんにちは。32回生の高橋敬介と申します。いやあ、こんな幸福の手紙星陵版みたいなのがあるのですね。何十年とお会いしていなかった知己とフェイスブックで奇跡的につながったと思いきや、あれよあれよと言う間に導かれ、え、え、私は誰?ここはどこ?ってな感じで今、登場しております。以後お見知りおきを。

正直申し上げて、憧がれ、恋いこがれ、中学浪人までして入学した星陵であったにも関わらず、自分が何回生であるかを失念するという失態をまずご報告しなければなりません。その私が、学生時代の一番の印象を語る訳でありますが、実は、我ら32回生は、かなりの過激分子を含んだ一味であったと思います。

この世代、ちょうど50年代の学生運動の面影を引きずっている。

いや、東大安田講堂で繰り広げられた学生運動などリアルには何も知らないものの、権力に対して抵抗する事の遺伝子だけは受け継いでいたようだ。ただし政治に対するイデオロギーなど持ち合わせていない。いわゆるノンポリ。故に、かっこよさとしての闘争ごっこ。以上、オフ。ま、子供がヒーローごっこをするような感じですね。

35年近く前、我々は、卒業式を乗っ取る計画をたてた。生徒会を中心に、一部の自称ヒーローたちが秘密会議を繰り返し、綿密な計画をたてた。主旨はこうだ。

ある(これは文章には書けない)出来事が起こった。これは、突き詰めれば学校側の責任である。我々に自由を選択する権利を与えず、学校側の都合で解決しようとした結果、この不幸(書けない)が起こったのだ。だから、我々は、自由を取り戻す戦いを始めなくてはいけない。その集大成が卒業式の乗っ取りなのだ。

と。まあ、今考えるとかなり論理の飛躍があり、無理矢理感が濃厚で、オモシロイ事を最後にやるために、なんとか大義名分を整えた感じがする。仮面ライダーの敵、悪のショッカーが世界征服をもくろみ、まず幼稚園バスを襲うような(なんでやねん)、違和感があるが、まあ、いい。そういう世代なのだ。

卒業式はクライマックス。生徒会長による送辞。これが幼稚園バス襲撃なのだが、予定された送辞をしたためた巻物を捨て去り、制服の胸ポケットより取り出したるは、我々の思いがいっぱいに詰まった新・送辞。これを、校長の前で朗々と謳うことが始まった。

途中でマイクの音声がカットされる。静まりかえった講堂。彼の声が響き渡る。私は最前列に陣取り、もし教師や父兄が制止に入った場合、壇上に駆け上り、力づくで阻止する親衛隊の役回りだ。送辞が佳境にはいる。対面する校長の顔を伺うと、神妙な表情ではあるが不思議と嫌悪がない。むしろ清々しい表情をしておられる。私は非常に感動した。ある意味、心を打たれたと言って過言ではない。会長の朗読が終わり、一瞬の間をおいて講堂が割れんばかりの拍手喝采。先生方の中にも拍手されている方も沢山おられた。校長は会長の送辞を、一礼して受け取られ降壇された。卒業式はつつがなく終了。

正直、送辞の内容はよく覚えていない。ただ、過激な学校糾弾の内容ではなく、未来を見据えた、プラスのエネルギーが満ちあふれた、そういう意味では『生きた』素晴らしい内容であった印象が強くある。ああ、これが星陵イズムなのか。自由闊達。先生方も生徒たちも。学生は若くエネルギーがあふれており、時に形式を嫌がりはめを外し、こうやって自己主張する。それをルールだから、決められたことだからと役所仕事のごとく取り締まる。そういう風潮は、少なくとも当時の星陵にはなかった。私はおそらく、そこに惹かれて中学浪人してまで(当時はほとんどいなかったと記憶している。そういう意味では、私もなかなかの自由闊達人なのか。)この学校に来たのだろう。私の人格は星陵高校で育まれ熟成し、今に至った。そういう意味では、感謝以外の言葉が浮かばない、

時代は変わり、今は、また様々な事情の中での学校運営があるだろうから、30年前を今に重ねる暴挙はしない。ただ、私の一番の印象はと問われれば、このエピソードを語りたい。

三つ子の魂百までと言うように、多感な時代の経験は、必ず自分の人生のベースとして蓄積されています。星陵卒業生軍団が、こういうエネルギーをもったまま世に出、年齢なりに昇華させ、今を生き、そして活躍している事を想像し楽しみにしています。

さて、今年で54歳になります。誰にでもある紆余曲折を私も繰り返し、今はエネルギーレベルからの健康をアドバイスする仕事をしています。

 

現在、空前の健康ブーム。また、高齢化社会であるが故、当たり前の事象ではありますが、あまりに健康情報は諸説紛々。なにが正しい情報なのか、選択が難しい時代になって参りました。よかれと思って取り入れた情報が、かえって健康を阻害した事例は数多くあります。そこの交通整理をぜひやってみたい!そういう思いで日々今の仕事に取り組んでいます。

私の提唱する健康の定義は、WHOの定義とは少し違いますが、フィジカル(P)、ミール(M)、ストレス(S)の3ベクトルにエネルギー(E)と言うベクトルを加え、4つのベクトルが織りなす質量を健康のバロメーターにし、それを解説・アドバイスしています。フィジカルには、運動・呼吸・骨格・その他が含まれ、ミールには、食事・飲酒・タバコ・その他。ストレスは、人体にかかる負荷や考え方。エネルギーは、まさに星陵イズムにメタファー化できる自由闊達なエネルギー。若いうちは、そういった弾けるようなエネルギーでいいでしょう。しかし、ある程度人生に年輪を重ねてくると、自己主張や過去の経歴や経験を売り物にせず、今をしっかり生き、自分の在り方が人をエンパワーするような人生を送る、そういうエネルギーが、どれほど自分や人を健康にするか、そういった事を日々自分に問いかけながら研究を続けています。

今回、こういうチャンスを頂き、ご縁に感謝しております。プロフィール写真は、(本当はこのようなものを出したくないのですが)2014年7月、ある会社のプロモーション雑誌のモデルとして抜擢されたときの写真です。自分自身の写真を撮る習慣がないので、このような写真でごめん下さい。私の在り方が、皆様の健康とこれからのご活躍にエンパワーできればと思います。有り難うございました。皆様の逞しい人生をお祈りしております。

高橋敬介 拝