「続けてみるということ」吉岡 範明(高38)

それは、こんな言葉で始まりました。
先輩:「それやったら、ユーフォどうや?」
私:「ゆーふぉ(UFO??)??」
先輩:「ユーフォ知らへんか?」
私:「知りません...」

申し遅れました。
今回連載コラム『LINK星陵』を担当させて頂くことになりました38回生 吹奏楽部の吉岡と申します。私のコラムに少しだけお付き合い頂ければ幸いです。

出身は神戸なのですが、親の転勤の関係で小中学生時代を愛知県で過ごしておりました。そんな愛知っ子であった私ですが、またも親の転勤で中学卒業と同時に神戸に戻ってくることになりました。
と同時に、星陵高校と他の一校とどちらを受験するかという選択に迫られました。
神戸の高校事情を知る由もない私にはなかなか決めることができなかったのですが、星陵高校出身の親戚の言葉
「星陵はいいぞ、星陵温泉で本当に楽しいで」で、
即決です(笑)。

無事に入学でき、次はやはり部活です。
小中時代はサッカーをやっていたのですが、高校では別のことをやりたいと思い、運動の次に好きだった音楽関係に入ることにしました。
当時星陵の部活で音楽関係と言えば、合唱部と吹奏楽部になります。私としては、歌の方が好きだったのですが、入学して最初に友達になったのが、吹奏楽部員だったのです。
そこで、入部のために訪れた部室にて、最初の先輩とのやりとりになったわけです。

ところで皆様は「ユーフォ」という楽器ご存じでしょうか?
私自身音楽好きだったので、管弦楽の楽器はほぼ知っていたと思いますが、それでも「ユーフォ」は知りませんでした。
正確には、Euphonium(ユーフォニアム or ユーフォニウム)というチューバを小さくしたような金管楽器です。甘く優しい音色が特徴(上手な人が演奏すると本当に美しく、包み込まれるような音色がします)で、音域は男性の声とほぼ同じです。
管弦楽では殆ど出てくることはありませんが、吹奏楽や英国式金管バンドではメジャーな存在です。
そう、特に希望楽器が無かった私は、先輩の言われるままこの「ユーフォ」を始めることになったのです。

チューバとユーフォ

始めた当初はそれ程夢中になることも無く、ただ曲が演奏できるのが楽しいという程度で取り組んでいましたが、何故だか分かりませんが、1年生の秋頃には、ユーフォと吹奏楽に夢中になっていました。
2年生になるとそれに拍車がかかり、年がら年中音楽の事ばかりを考えて生活していました。
学校に登校すると朝練、休み時間中に弁当を食べて、4時間目が終わったらすぐに練習、放課後も練習という毎日でした。
そんな私でしたから、夏合宿の1日10時間を超える練習も全く苦になりませんでした(若かったですね)。

そして迎えた定期演奏会
例年3月末か4月初に吹奏楽部では、定期演奏会を開催しておりました。しかも我々が中心学年として迎えた演奏会は第10回という記念の演奏会でした。
記念ということもあり、色々特別な企画をということで、OB方からは本格的なホールで開催したらどうだという提案を頂きました(それまでの演奏会は旧校舎の講堂で開催していました)。
私としては、当時の我々がそんなホールで演奏会をするということに全く現実感がありませんでしたが、それが現実となったのです(1985年3月31日(日)明石市民会館大ホールにて開催)。
本当にOBの方々、顧問の先生のご尽力があってのことだと思います。

とにかく楽しいことが好きだった我々は、部内有志で作ったフュージョンバンド”Then The Band”(前座バンド?)による演奏あり、OBとの合同ステージあり(記念すべき第1回を開催した29回生の先輩にも指揮を振って頂きました)、惑星探査機”ボイジャー”をイメージした曲では、部員が手作りしたボイジャーの模型をホールの中を飛ばしたり、となかなかはじけたステージを作れたと今となっては思います(お揃いのハッピも手作りしました!)。

そんな楽しい吹奏楽生活でしたが、この演奏会を最後に引退し、しばし眠りにつくこととなるのです。

目覚めるきっかけはこんなやりとりでした。
「吉岡さん、25回の記念定期演奏会に出てください」
「え!? 俺15年間全く楽器吹いてないで!それでもいいの」
「いいんです!!」
「分かった。出演できるようにがんばってみるわ!」

この15年の間私は、入学できた大学には吹奏楽部が無く、楽器も持っていなかったため続けることはありませんでしたし、社会人になるころには、もう二度とユーフォを吹くことは無いだろうと感じておりました。
ただ、毎年の定期演奏会には足を運び、懐かしい先輩や後輩に会うのが1年に1回の楽しみとなっており、それだけは続けていました。
そんな折、顧問の先生も代られたこともあり、あいさつも兼ねて星陵に遊びに行った時の一幕が上記のやりとりです。
そして、そのやりとりの相手である当時の部長さんこそが、この『LINK星陵』第12回を担当した岡田夫人の仁美さんです。
彼女の一言のおかげで、もう一度楽器を吹く勇気をもらい、人生を豊かにすることができました(普通の高校生が、初対面の大人になかなか言えるものではないと思います)。

さらに、12年後には、OB吹奏楽団(星陵ウィンドアンサンブル)単独での演奏会にも参加させて頂くことができ(是非『LINK星陵』第12回を読み直してみてください)、個人的にもさらに飛躍することができました。

団員には内緒でここだけの話ですが、この演奏会で「初音ミク(コンピュータ上のバーチャルシンガー)」を通常の自動演奏では無く、吹奏楽の演奏に合わせて生演奏をしたのですが、この準備と演奏が想像以上に難しくて、最後の一カ月は殆どユーフォの練習をせずに、この初音ミクの練習ばかりしていました(笑)。
かの冨田勲先生よりも2カ月程早く初音ミクの生演奏を披露することができたことがプチ自慢です。

また、それに先立ち飲み会でのちょっとした思いつきで企画した吹奏楽部38、39、40、41回生の同窓会(通称:383940+1会)、10人程度集まれば良いかと思っていたところ、30名を超える同窓会となり大変盛り上がりました。
さらにこの会を機に演奏を復活させたメンバーもおり、人のつながりの大切さを感じました。

こうして、最初に吹奏楽部員友達となった時から始まった私の吹奏楽人生を見直してみると、ぼちぼちでも良いから何か続けていると、色々な出会いがあり、色々なことを経験できるものだなぁと改めて感じております。

このコラムを読んで頂いている吹奏楽部OBの方でもう一度楽器を演奏しようか迷っている方がいれば、一度少し勇気を出して演奏してみて欲しいと思います(待ってます!!)。

最後に、今後の星陵ウィンドアンサンブルの活動予定を少し紹介させて頂きます。

星陵高校吹奏楽部 第40回定期演奏会
日時:2015年3月28日(土) 18:00開演予定
場所:神戸文化ホール 大ホール
入場料:無料
40回の記念になりますので、OB単独ステージ、現役との合同演奏と盛りだくさんです。
現役のステージは我々の時代からは想像がつかないくらい凝ったものになっていて、吹奏楽になじみの無い方でも本当に楽しめるものになっています。
是非、足をお運びください。

星陵高校同窓会総会懇親会
日時:2015年8月2日(日) 11:00から
場所:神戸ポートピアホテル
昨年に引き続きミニコンサートを予定しております。同窓生の皆様は是非お越しください。どなたでも楽しんで頂けるような曲を演奏させて頂きます。

星陵ウィンドアンサンブル演奏会2016
日程:2016年9月頃
昨年も演奏会を開催させて頂きましたが、さらにパワーアップして演奏会を開催する予定です。
是非足をお運びください。

それでは皆様、演奏会でお会いしましょう!!