「ビリっけつWinner」田中 未央(高58)

こんにちは、58回生の田中未央と申します。

卒業後は神戸市外国語大学ロシア語学科に入学し、ロシア語を学んだのち現在は東京で働いています。

当時の部活の顧問であり、私たちを全国大会ベスト8にまで導いて下さったマサル先生の推薦を受け、今回リレーコラムを書かせて頂くこととなりました。

テーマとして「高校時代の一番鮮明な思い出」「ロシア語の魅力」について語って欲しいというリクエストを頂きましたので、(ほぼ強運と仲間のおかげで)輝かしい記録を残した囲碁将棋部の話を書こうかな~と思ったのですが、そっちは後輩に譲ることにして、今回はもう一つの思い出である「体育の1km走」の話をさせて頂きたいと思います。

尚、テーマに関係のある写真が無かった為、写真については星陵にゆかりのあるものを適当に貼っています。(テーマ選定失敗したかしら?)

【恩師マサルさん】

皆様の中にも共感頂ける方がいらっしゃるかと思いますが、ド運痴系地味ガールだった私は体育の前に走る1 km走が大の苦手で、高校生活を通して基本的にビリかブービーかというレベルでした。

タイムも、5分30秒とかがざらだったのですが、大して気にする訳でもなく「みんな早くていいなぁ~」くらいにしか思っていませんでした。

【大親友キャンキャン。足は私よりは速かったと思う】

そんなある日、体育の先生が「来月の学年最後の1km走で、全員が5分を切れたらコロッケをおごってやる」と言い出しました。

皆は大盛り上がりで、なんとしても目標達成して先生にコロッケをおごらそうと、一致団結してタイムアタックに取り組むこととなりました。

一方の私は冗談じゃねー!なんてこと思いついてんだ!と真っ青。

体育は2クラス合同で行われ、その中でもともと5分を切れていなかったのは10人程度だったと思います。しかし回を追うごとにその人数は減り、タイムアタックまであと1週間の段階では、とうとう5分を切れていないのは自分だけになってしまいました。しかも5分1秒とかでなく、安定の5分30秒前後…。(もちろん自分では本気のつもり)

私一人のせいで目標達成できなかったらどうしよう。。。と、それはそれは焦りました。

かといって当然急に足が速くなるわけもなく、あっさり本番の日を迎えてしまいました。

【チーム囲碁将】

「自分が休めばみんな何の心配も無くクリアできる…」なんてことは1万回くらい考えましたが、いやいや逃げちゃダメだとどこかで聞いたようなセリフを自分に言い聞かせ、とにかく休まず出ることにしました。みんながそれを望んでいたかどうかは別として。

開始前には「なんとかなるやろ!頑張ろね☆」と、励ましの言葉をたくさんかけてもらいましたが、その時の自分には「あと一人やねんから今日くらい死ぬ気で走れよ!」と脅迫されているようにしか思えませんでした。←被害妄想

”どんなに息があがっても、どんなに足が痛くても、今日だけは絶対に5分を切らねば…”

そんな気持ちで立ったスタート地点では緊張で足が震え、心臓がバクバクして走る前から息も絶え絶え、横の友達にも心配されるという情けなさ。

1km走がスタートし、私はなんとかみんなに置いて行かれない様に必死で走りました。

【毎年20人近く集まる囲碁将OB&OG会】

単純計算では1周200mにつき1分のペースを守れば良く、1分毎に先生が「いっぷ~ん!」「にふ~~ん!!」と叫んでくれるので、ペースはつかみやすかったと思います。

また、『自分だけが5分以上かかる』=『最低でも自分より一つ前を走っている人と並走できれば5分以内で完走できる』ことになるので、自分はみんなについていくだけでいいわけです。あとは自分の気力次第。

1周、2周、3周目まではなんとか59秒~61秒あたりを死守しました。
しかし4周目で足がぐっと重くなり、いつものようにみんなから引き離されていってしまいました。

まだ5周目に入るまで30mはありそうなところで先生の「4分~~!!!」と叫ぶ声が聞こえてきた時の気持ちといったら、まさに絶望の一言…。

3分台後半で走り終えている先頭集団の子達が私に声援を送ってくれていましたが、私は既に半べそ状態でした。

【1年だけ兼部していたコーラス部メンバーと。先輩の御結婚お祝いパーティーにて。】

最終カーブ地点ではあと10秒も残っていなかったと思うのですが、先に走り終えて石階段近くにいた子の一人がぱっとコースの内側に入り、走れ!!頑張れ!!と大声を出しながら、少し前を一緒に走ってくれました。そしてその子に続くように、他にも何人かがコースの外側まで走り寄ってきてくれました。
(しかもみんなあまり話したことのないイケイケ体育会系ガール)

正直に言えば9割くらいあきらめていたのですが、ここまでしてもらって5分切れないなんて絶対にいやだーーー!と、再びやる気に火がつきました。

5、4、3、2、1…と先生がカウントダウンするなか、自分でもビックリするような火事場の馬鹿力を発揮して猛ダッシュ!

ゴール地点に倒れこむと同時に、先生の「4分59秒ぉぉぉ~~!!!!」と叫ぶ声と、みんなの歓声が聞こえました。

自分はといえば、ただでさえ吐きそうなくらい息が上がっていた上に嬉しいやら恥ずかしいやらで泣きまくり、呼吸困難状態でもはやコロッケどころではありませんでしたが、逃げずに走ることを選んで本当に良かったと今でも思います。

たかが1km走ですが、こんなこともあったのだよということで、ご紹介させて頂きました。

これだけでだいぶ長くなってしまったので、「ロシア語の魅力」はまたの機会にご紹介したいと思います。ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!

【ロシアの友達。気付いたら日本でリポーターデビューしてました。】

追伸;

そう言えば、先生以外誰もストップウォッチを確認してなかった気が。