「”死ぬときに後悔したくない”という思いでつかんだ一級建築士合格」山川洋子(旧姓木下)(高36)

去年、7年越しで一級建築士試験に合格しました。
これまでの人生で初めてとことん努力し、諦めなかった結果が実を結んだのだと歓喜した合格発表の瞬間が忘れられません。
星陵ではバレー部に所属し、キャプテンをさせていただきましたが、当時は明確な目標を持たず、中途半端な気持ちのまま練習をこなす毎日で、特段良い成績を収めることができませんでした。そのときの部員の皆さまには大変申し訳なかったと思います。
山本先生、部員の皆さま、ほんとにごめんなさい。
そして、受験を控えた高校3年生のとき、4年制大学を受験しようと夏休みまでは頑張って勉強していましたが、推薦で某短大に入れるという担任の先生の言葉で目標大学を簡単に諦め、その短大進学を選択しました。
と、楽しいながら後悔ばかりの高校・短大生活でしたが、就職は運よく某航空会社にCAとして入社しました。私の就職時はバブルが始まる直前の年で、入社した会社も定期国際線運航開始を控えており、大量入社の年でした。おかげで私も合格できたのだと思いますが、せっかく夢が叶ったのに人間関係で悩み、標準語が苦手で関西弁がなかなか治せず、その上狭いところが嫌いだったりで、毎日辞めたいと思いながらどうにか持ちこたえていたという状態でした。それも努力が足りなかったのだと今は言えますが、当時の私は6年で「私には合わない」という身勝手な理由をつけて辞めてしまいました。

それからはなんとなく楽しければいいかと楽観的な日々を過ごしていましたが、32歳の春、転機が訪れたのです。
「一度の人生、こんなんでいいのだろうか?」と思い始めた私は、これからの人生、仕事をするなら資格が必要だと思い、軽い気持ちでもともと興味のあったインテリアコーディネーターの勉強を始め、資格を取得しました。
しかし、いざ仕事を探してみてもインテリアコーディネーター資格だけでは良い就職先がなく、それでは二級建築士の資格を取ってみようかなとまたまた軽~く考え、挑戦してみると二級建築士資格も取得できてしまいました。
でも今思えばそれも運が良かったのでしょう。試験内容は年によって難易度に差があり、私が受験した年は比較的難易度が低かったのです。
その後、縁あって大阪の小さいマンションデベロッパーに就職することができ、商品企画の仕事を始めました。
朝は7:30頃には出社、帰りは終電に間に合わなくて会社の車で帰宅する毎日で非常に大変でしたが、自分が関わったマンションが竣工し、お客様が実際にそこに住んでいることに感動しました。
かくしてその後、ひょんなことから東京で生活することが決まり泣く泣く退社しましたが、東京でも、またまた運よく大手マンションデベロッパーに就職することができました。
ところが、今回は業務内容が品質管理ということもあり、ここまでなんとなく運の良さでしのいでこれた私に大きな壁が立ちはだかります。
大学で建築を学んでいない、建築に関わる業務の経験が少ないことで実質的な建築がわからないのです。
上司の勧めもあり、一級建築士に挑戦することになりましたが、ここではまだ「二級建築士に毛が生えたくらいのもの?」程度のイメージしかありませんでした。
が、いざ専門学校に行ってみると、先生方の話す単語が全く理解できず、日本語という認識しかできない自分に愕然。
「運も実力のうち」が打ち砕かれた瞬間でした。
何度か諦めかけましたが、今までの人生を振り返ると、せっかくいい環境に恵まれてきたのに、努力を嫌い諦めて楽な方に流れて、後悔の日々であったことを思い出し、このまま止めてしまったら「私の人生は諦めばっかりやん!」と思い、とことんやり抜く決意を自ら指差し確認。仕事の合間を縫って勉強に精を出す日々が続きました。大げさではなく「死ぬときに後悔したくない。」という思いが、7年間の努力の源だったのです。

仕事内容は設計からお客様への引渡しまで関わる非常にやりがいのある仕事です。
今の会社は大阪時代とは違い、品質管理手法が確立しており、様々なことが初めてづくしで、毎日が勉強でした。いや、8年目の今でも学ばなければいけないことばかりです。
その上、お付き合いするのは設計会社、施工会社など、プロの建築関係者ばかりです。不具合なく、お客様に喜んでいただける高品質のマンションをお引渡しができるように、そんなプロの方々にご協力いただかなくてはならず、人間関係も非常に大切です。
一級建築士の勉強をしたことで試験に合格しただけでなく、建築の知識もかなり増え、施行中の設計者、施工会社の皆さんの話すことが理解できるようになり(最初は皆さんが何を話してるかもわかりませんでした)、コミュニケーションもスムーズにとれるようになりました。
これが一番の財産です。
今、思うことは努力するのが遅かったけど、今までいろんなことを経験して後悔してきたからこそ、今の自分があるのだと思います。決して無駄ではなかったと思います。
そしてとことん努力すればびっくりするような夢でも叶うということです。
年齢は関係ないと思いました。
ちょっと気付くのが遅過ぎましたが…。
試験が10月のため7年間、夏を楽しめませんでしたが、これからは7年分を取り返すほど力一杯楽しもうと思います。そして、いくつになってもいろんなことを学んでいきたいと思います。

最後になりましたが、勉強中は星陵の同級生にはとっても励ましてもらいました。力をもらいました。
星陵生でよかった!と心からしみじみ思いました。
皆さま、ありがとうございました!