平成29年度卒業生による講演会 「音楽と減災」 桝田和宏(高43)

平成30年3月20日、『卒業生による講演会』が母校体育館で開催されました。毎年、卒業式後の3月初旬に1・2年生を対象に行われ、今年は40回目の開催となります。

減災について語る桝田さん

今年の講師は桝田和宏さん(高43)。去年6月13日、明石市民会館大ホールで行われた芸術鑑賞会でアカペラグループPermanentFishのリーダーとして生徒達に素敵なパフォーマンスを披露して下さいましたが、新設されたばかりの兵庫県立大学 減災復興政策研究科の大学院生として新たなスタートを切り、次世代に減災についての思いを伝えたいとこの日の登壇となりました。
演題は「音楽と減災」。

「音楽への道を選んだきっかけはまさにここだった」
星陵祭のステージが雨のため急遽変更になり、体育館のステージで仲間とバンド演奏した高校時代の思い出に触れ、自分の音楽の原点である体育館に立っていることに感慨深げな様子でした。

 

桝田さんは長田区出身。阪神淡路大震災で家をなくしました。そんな中、人間関係の密な長田で人々を元気づけようと、お風呂に入れない人たちをお風呂に連れていくというボランティアからはじめたそうです。元町の「元気食堂」という仮設屋台村で連日ライブを行い、ボイスパーカッションのパイオニアと呼ばれるまでになりました。「Baby Boo」「Permanent Fish」というグループを興し、メジャーデビューまで果たして活躍してこられましたが、形として残すことの難しい減災を、新たに音楽を通じてわかりやすく次世代に伝えていきたい!との想いが強くなっていったそうです。

「東日本大震災後、東北へ何度もボランティアに行って見たり聞いたりしたことが、関西では全く聞こえてこない。阪神・淡路大震災では、市役所や消防・警察による公助によって救うことができたのはたったの23%でしかなかった。自助・共助が連携することがどれだけ重要であるかを覚えておいてほしい。これから起こるかもしれない震災に備えるためにもコミュニケーションが何よりも大切。」
桝田さんは何度もそう繰り返しました。

講演の後は、「Bloom Works」として一緒に活動をされている石田裕之さんも登場してサプライズライブ。
体育館が一体となり、生徒達の掛け声が大きくこだましていました。

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 (取材・撮影 事務局 山田祐子)

 

『卒業生による講演会を終えて』

3月20日に、卒業生として、星陵高校の現役生の方々の前で講演をさせて頂きました。私が、プロとしての音楽活動と共に昨年から兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科に通っていることから、テーマを「音楽と減災」とさせて頂きました。星陵同窓会の輝かしい先輩方よりも前に、若輩者の私の人生を語ることは大変おこがましく恐縮でありました。身が引き締まる思いの中、自分なりの視点から今の精一杯のメッセージを届けて参りました。

私は、1995年阪神淡路大震災時は神戸市長田区に住み被災し、避難所生活、仮設住宅暮らし、そしてボランティア活動など経験いたしました。そのことから現在は語りべとしての活動もしております。しかし、月日は流れ、リアル感は薄れ、次世代につなぐことの困難に直面することから現大学院の受験を決意いたしました。

そこで、防災減災を学び、研究することで、その知見を音楽と共に自分の言葉で発信していけないかと考えたからです。それをこの度、後輩の皆様の前で実践することができたことは何よりもの励みにもなりました。次の人生の新たな指標を頂けた、そんな気分です。

そして講演の後半では、今現在活動しています、音楽ユニット「Bloom Works」でサプライズライブをさせて頂きました。減災の中では今一番に叫ばれているコミュニティの大切さというところで、音楽で会場がひとつになったことは、後輩の皆様も正にそれを体現して頂けたのではないかと思います。キラキラとしたまなざしが印象的でした。

1人ではできないことも、コミュニティを形成することでそのシーンは動く。
「Never too late!」いつ動いても遅くはない、そんなメッセージを心から届けました。

南海トラフ地震が30年以内、もしかすると明日にでも来るかもわからないという状態の中、少しでも防災、減災の想いが芽生えることが必須であると考えています。音楽ユニットでは減災音楽フェスの開催を一つの目標としています。その波が世界中に広がることの重要性を確信しながら活動しています。前所属していたアカペラグループ「Permanent Fish」(昨年末で卒業)では昨年6月の芸術鑑賞会で、そして今回「Bloom Works」で後輩の皆様に二度にわたりライブを通し想いを発信できたことは、アーティスト冥利に尽きるなと感じます。

この日を作って頂きました、同窓会事務局の方々、そして植村先生をはじめ、先生方には心から感謝いたします。これからの星陵高校、星陵同窓会がますます発展しますように、またご多幸をお祈り申し上げ締めくくらせて頂きます。ありがとうございました。

 

兵庫県立星陵高等学校 桝田和宏(高43)
(Bloom Works KAZZ)