コラム「星陵生をたずねて」 入学記念品『沿革史』の誕生 石川正(高44)

たまたま参加した2010年の評議員会で70周年記念誌の発行の話を耳にしました。事務局次長の安田稔さん(高16)が「事務局で作業をしてくれる若い人材が不足しているので困っている。誰か手伝ってほしい。」ということだったので、当時フリーランスで活動し、時間的に余裕があった私は記念誌発行にも興味があり、参加を表明。先輩方の古い執筆をデジタル化する等、70周年記念誌発行を側面から協力しました。
その後、生活の拠点が徳島に移り、少し距離があった2012年の10月に事務局の山田祐子さん(高30)から同期の辻本博樹くんは知り合いか問い合わせがありました。連絡会議に出席していた彼と回生が同じだったので、もしかして…とのことでした。学生時代よりよく知っている相手なので、機会があれば再会したいものだと軽く受け答えをしました。
しばらくして、辻本くんの発案で新入生への記念品として『沿革史』を発行することになったのだが、プロジェクトチームの一員として手伝ってもらえないかと打診がありました。会議に全部参加は難しいかもしれないけど、70周年記念誌作成のノウハウを生かし、出来る限りお手伝いさせていただくことになりました。
最初に集まったのは2013年の8月。メンバーは事務局長山田祐子さん(高30)、事務局員小野隆弘さん(高33)、小早徳正さん(高34)、同期の辻本くんと私。そこから過去の周年誌を参考に70数年の年表作り、トピックスの洗い出し、表紙の写真撮影、同窓会の歩みのまとめ、印刷業者との発注打合せなどを、それぞれ担当を振り分けして作業していきました。月1回のペースで進捗確認などを行い、集まれない間もメッセージグループを利用して少しずつまとめていきました。
中でも年表作りとその整合性の確認作業、トピックの選定などには時間と労力をつぎ込みました。何せ、半世紀以上も前の古い出来事。どこまで載せるのが適当か、当時の時事ネタは必要か等、連日熱く語り合う場面もありました。さらに、内容確認のため、理事会後の懇親会などで年表の内容について先輩方からのヒアリングも重ねました。すると記憶力豊かな先輩方は、昨日のことのようにあの時はこうだった、その時にはあの人がああ言った、とこれまでの記録には出てこない興味深い話が次から次に溢れてきます。その都度メンバーと、この話は書いて良い、これは信憑性が薄くなったので載せるのはどうか、と話し合いを重ねることになりました。
他にもいろいろありました。校長先生に見ていただいたところ、「今の校舎になって20年以上経つ。新校舎と呼ぶのはどうだろう。」とのご指摘。自分達の代で建て替えた経験から、ずっと『旧校舎』と『新校舎』と呼んでいたメンバーには目から鱗。『前校舎』と『現校舎』に表記の変更を行う一幕もありました。
我々の草稿に目を通して指摘していただいた多くの先輩方に尽力していただいたお陰で、何とか2014年の3月にはひとつの形にすることが出来ました。納品が3月31日で、新入生への配布が4月3日と、ほぼギリギリのタイミングでしたが間に合って何よりでした。6校も版を重ね、素人同然の我々のデータを冊子にまとめあげていただいた小野高速印刷さんにも感謝です。
歴史はまだまだ続きます。これからも毎年校正作業を繰り返しながら発行を続けていくことが重要です。私はきっかけ作りに参加しただけでしたが、ひとつの大きな仕事に少しでも関われたことを誇りに思います。
                             沿革史 第1刷                                                                     沿革史を手に見入る四中1回生の方々

 

※「沿革史」は69回生が入学した2014年(平成26年)から、“入学記念品”として同窓会から新入生に贈呈しています。(当時在籍していた67回生、68回生にも配布しました)
最後に、「沿革史」初版の裏表紙に刻まれた石川さんの『編集後記』をご紹介します。