「千夜一夜物語(5)」風穴 武志(高6)

第五話罪と罰

自由恋愛、窃盗、傷害、交通違反、総て公開処刑される。

麻薬、強姦、殺人、同性愛においては死刑、窃盗においては手首切断や、飲酒においては鞭打ち刑などの身体刑を行っており、また裁判についても被告人が理解できない言語で公判が進められたり、と公平でない上、判決を容認しない場合は弁護士などは資格を剥奪される。

医者、看護師、交通違反等の過失致死罪はサウジ人が絶対勝つ、負ければ公開処刑。裁判で情状酌量判決はあり得ない。

例えば、不幸にして交通事故を起こしたとする。
信号のない三叉路で、私が制限スピード以下で直進中横路からやってきたサウジ人運転の車が一時停車線で停止・徐行もしないで、本線に進入、結果相手の車とぶつかり両車は中破、相手助手席の同乗者が打撲傷、

このケース、絶対車両を移動させず、お巡りさんを待つ。
私たち日本人は身元引受人に連絡、同時に大使館にも連絡し、当事者同士で示談など絶対考えてはならない。
また相手に非があるなしに拘わらず、お気の毒とか、見舞いに病院に行く、家を訪ねるとか、絶対にしてはならない。
『目には目を』、のリンチの後
砂漠に捨てられる覚悟であればと言い伝えられた。

常駐者の間で最重要言伝は、ノンモスリムは絶対事を起こしてはならない。
身元引受人に全てをゆだねる。

最近の例では2005年5月の事件は、政府が働きかけても、イスラム法で裁かれた事件。
スリランカから出稼ぎに来ていたリザナ・ナシカというメイド(事件当時17歳)が赤ん坊にミルクを与えた際に気管に詰まり、メイドが救命措置を取ったが死亡してしまい、事故死ではなく殺人であるとされ死刑が宣告された。

スリランカ政府は寛大な処分を求めたがそれにも拘らず2013年1月、斬首刑が執行された。

欧米諸国から非難の声も多々あったが現在でも公平な裁判は行われない。

滞在中(1975年)前科二犯窃盗犯の公開処刑が執行された、罪状は被告が両替商に侵入し、金延べ棒を盗んだ罪。

初犯であれば右手首切断はあり得なかった。二年前に窃盗の罪があって、前科があり左手親指切断の体罰を受けていた。今回で、二犯となるため、判決は右手手首からの切断となった。

公開処刑である為、金曜日朝九時頃、ホテルの隣のモスクより朗々と罪人の名前、年齢、出生地、犯した罪状が放送され正午のお祈りの時間まで三度放送された。

午前10時頃 1973年
ホテル屋上より

人垣の向こう正面右側のバスに手首切断した後止血を担当する医師・看護師・減刑の嘆願を続ける犯人の家族が乗っていた

正午前 1973年
ホテル屋上より

正午きっかりに斬手首が執行されると、拡声器で厳かに朗々と報じられ、執行された後、見せしめの為日没まで手首は電柱につるされた。

公開処刑であるが、撮影は厳禁である。

滞在中のホテルの屋上より無断撮影であった。

現在サウジアラビアは有り余る石油収入で過去40年間でインフラも改善されドバイと変わらない国に発展・成長していますが、世界一戒律の厳しい国であり、又禁酒国であります。個人で入国する場合身元引受人必須。

観光ビザはありません。

モスリムに改宗してメッカ巡礼目的で訪問してください。