「歌は心をつなぐ」田中 久美子(高47)

志(こころざし)をはたして いつの日にか帰らん
山は青き故郷(ふるさと) 水は清き故郷(ふるさと)

皆様よくご存知の「故郷(ふるさと)」の歌詞の三番です。コンサートの最後によく歌うのですが
この詩を歌っていると自然に涙が出て来ます。みなさんの心に残る歌は何でしょうか?

私は小さい頃からとにかく歌う事が大好き!
4歳のときに、須磨浦山上遊園地のドレミファ噴水パレスで行われていたチビッコ歌合戦で「かわいいで賞」をいただいて以来、人前で歌うことが嬉しくて嬉しくて…。そして合唱団に入ったり、TVの歌合戦に出たり、東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」のリトルコゼット役をしたりと私の歌人生が始まりました!

転機は6年生。「夏の思い出」の作曲者である 故、中田喜直先生に「君は童謡を歌いなさい」とおっしゃっていただいたことで、歌のおねえさんになりたいと夢を描きました。
音楽科のある高校への進学も考えましたが、母が同じく星陵の卒業生で楽しい高校時代の思い出話をいつも聞いていたので、自然と高校は星陵に行きたいと思っていました。
ところが、中学での成績は思わしくなく、無理矢理星陵の受験に挑んだのですが、舞台度胸のお陰か本番に強く、無事合格。新校舎の一年目となりました。

のんびりとした校風のなか、伸び伸びと歌に打ち込むことができ、コンクールなどで好成績を残し、在学中に神戸ユース賞をいただくこともできました。卒業を間近に控え、阪神大震災にあい、卒業式は執り行われたもののみんなとはバラバラに。唯一同じ大学に進んだのが、みっつ前のコラムを書かれている三木くんでした。大阪音楽大学4年次に母校に教育実習に行き、音楽の坂下先生に二度目のお世話になり、楽しい日々でした。

卒業と同時に上京。NHK 東京放送児童合唱団で講師をしながら、イベント版のおかあさんと一緒「グーチョコランタン小劇場」やわんわんとあそぼショーの歌のおねえさんとして全国各地にて公演。東は根室や釧路、西は鹿児島まで子供たちと元気いっぱい歌ったり、体操していました。平行して地元神戸でも妹とともに童謡コンサートなどをしていたのですが、そんな折、いかなご料理大会のアトラクションで一般公募でえらばれた詩に曲をつけてほしいとのお話をNPO 法人輝たかまるさんよりいただきました。東京のアパートで、ひとり故郷を思い出しながらメロディを作り、小さな子供からお年寄りの方でもつい口ずさみたくなるような楽しい歌にしたいと作曲しました。アトラクションでは出来上がった歌に妹がダンスの振り付けをしてお友達に一緒に踊ってもらい発表しました。すると垂水区長はじめみなさんがぜひ、運動会などで使ってみてはどうかとCD 製作することになりました。そして、区内の保育園、幼稚園、小学校などに配布され少しずつ垂水の街に浸透していき、春になるとシーズン到来とともに垂水駅の広場の地下から流れ出します。今ではいかなご隊をはじめ色々な学校で踊ってくださるようになり、美味しいいかなごの味とともに輪が広がっていることをとても嬉しく思います。昨年末には垂水警察一日署長をさせていただき、振り込め詐欺の歌とともに「いかなごGO! GO! 」も熱唱!この歌で様々な方と関わり、出会えたことに喜びを感じています。

現在は生まれ育った垂水に住まい、姉妹で童謡コンサートを開催したり、保育園、幼稚園や小学校の芸術観賞会やオーケストラとの共演、司会、また後進の指導にあたっています。三児の母としても大忙しな毎日ですが、好きな歌を続けられることに家族に感謝しています。母となった今、童謡のもつ優しさ、悲しさ、美しさなど、今の子供たちにとても大切なものであると、改めて実感しています。微々たる力ではありますが、次世代につなぐ心の歌を、歌い継いでいきたいと思っております。

最後になりましたが、このような執筆の貴重な機会をいただき、ありがとうございました。星陵の卒業生であることを誇りにこれからも頑張っていきたいと思います。