「5,000円で楽しむ趣味着物」鈴木 志津(旧姓:池野)(高37)

現在末娘が当時の私さながら高校生活をエンジョイしていますが、その楽しげな姿を眺めつつ、私も自分の趣味をエンジョイしている今日この頃。それは『着物』。2年ほど前に着付けを習い、とにかく着ないと忘れてしまう、との諸先輩方の助言を活かすがため、月に2回は必ず着物を着るよう機会を設けています。

ひとつ目は、同じような思いでいた着物好き仲間と『おさんぽ着物の会』と称して月に一度、着物でお出掛けしようというもの。すると、着たいけど着て行く場所がない、機会がない、という思いを抱えた人たちが結構いらっしゃって、自分たちの楽しみで始めた会がそういった方々にとっても着物を着て出掛けるいい機会となっているようです。

ふたつ目は『着物座談会』

こちらも月一ペースで友人のカフェにて開催しています。こちらは着物に興味がある人なら誰でも参加できる、いわば情報交換の場。着付け練習中の方や着物について知りたい方も洋服で参加されます。昔なら親から受け継がれたであろう着物と着物にまつわる作法やしきたり。着付け教室で着付けを習う私たち世代は知らないことだらけです。それでも人が集まればそれぞれの知識や疑問、アイデアをシェアすることで、知識が増えたりお悩み解決となったり。こちらもとても楽しい場となっています。

さて、着物が趣味、というときっとみなさん、お金持ちの道楽⁉というイメージではないでしょうか。

では、わたくしがそのイメージを一新させましょう。

主人は一介のサラリーマン、大学生を筆頭に三人の子供たちにはまだまだお金がかかります。主婦の趣味にはお金なんてかけてられませんからね。

ということで私の着物、母が誂えてくれたもの以外は全て譲っていただいたもの、もしくはリサイクルの着物です。その上限も2000円と決めています。というのも、骨董市や呉服が充実しているリサイクルショップに行けば掘り出し物に結構出会えるのです。中には一度も袖を通さなかったであろう、仕付け糸がついたままの仕

立上りの着物だってあります。帯もしかり。
安くて良いものに出会えたときの喜びもまたひとしお!主婦ならではの楽しみです。

また、これは名古屋ならではの楽しみ方かも知れませんが、洋服地を着物に仕立てる、という冒険もしています。古くからの和裁士さんがそういったことも手掛けてらっしゃるのは、やはり正規のお仕立てだけでは立ち行かなくなっている厳しい現状もあるのでしょう。洋服地で仕立てるメリットは洗える、というところ。保管が大変なことが着物を気軽に着られないひとつの要因となっています。もちろん正絹の肌触り、着心地に勝るものはありませんが、それより気軽に着ることを優先することも今の時代には大切なことだと思います。実際、綿麻やポリエステルの着物を着てみると、正絹の持つ『本物の良さ』というものに改めて気がつき、着物がどれだけ日本の風土に合っているものか、日本人の知恵がどれほど素晴らしいものだったのか、とまで思いを馳せることになったのですから。

写真左:カートゥーン柄の綿麻着物×インド綿スカーフの帯揚げ
写真右:地模様入りポリエステル着物×アンティーク帯
そんなこんなで有閑マダムでもなんでもないアラフィフ主婦、着物を楽しむ生活をエンジョイしております。

最後になりましたが、星陵高校での思い出。
時々授業をサボって部室でトランプに興じていたあの頃、サボりながらもやはり根っこは真面目な星陵生、ハラハラドキドキとスリルを味わっていたことを思い出します。
そして、授業時間数がヤバイッ!という夢は30年経った今でもたまに私に襲いかかってきます。